うめひびき

JR九州が運営する、奥日田の旅館 「うめひびき」に宿泊してきた。
大山道の駅から車で5分ほどの丘の上にある。
道の駅やこの花ガルテンのルートはよく通るのだが、
この道路から西側へ入る脇道があり、大きな看板が見える。


もともと宿泊施設があったのだが、リニューアルを進め、
11月1日に全館グランドオープンとなったらしい。
入り口が二つあり、一つは温泉施設用のやや大きい入り口(立ち入り湯、午後3時まで)
もう一つの小さ目の入り口が旅館の玄関。
そこで靴を脱ぎ、素足で館内を歩く。
館内の通路は畳と、かんなで削った板張り。(なんという技法かは、わからない。)
中に入ると左手に小さな朱塗りのフロントがあるが、そこではチェックインはしない。
その奥の「藤五郎」というラウンジに通されウェルカムドリンクをいただく。
しかしなかなかチェックインさせてくれない。
到着が予定より20分程早かったせいか。


やっと係りの人が出向いてきて、名前と住所などを記入。
それから部屋へ通された。館内、いたる所に和のデザインが施され、
「これはどこかで見た印象に似てるな・・」と思っていたら、ななつ星だ。
乗車したことはないが、ネットやテレビで見知っていた。
グランドオープンして間もないので、館内はどこもピカピカ。
まぶしいくらいに輝いている。
部屋数が少ないので、他のお客を見ることが多くないのがうれしい。
組み木細工、漆塗り、ぬり壁。和のテイストだが欧米の機能性を持たせた客室。
ここも水戸岡氏(豪華列車「ななつ星」をはじめJR九州の列車のデザインを
担当している人。その評価はすこぶる高い。)の監修なのだろうか?
和洋室の部屋を予約したが、普通のシャワー付きのお風呂。浴槽はやや大きめ。
別棟の特別室の離れには露天風呂がついているが、値段が一人4万円以上らしい。


食事は食事処。完全個室。通路との仕切りのガラス戸は一枚だけ透明。
配膳スタッフが仕事がしやすいようにとの配慮だろう。
「通路から見られる」という感じはない。
食事はとても上品で、味も良い。量も男性には適量。
がしかし、一つの料理だけぼんやりした印象があった。
葛を使った料理だったが、皿の上に「流れた葛」が敷いてあり、
その上に煮た野菜類が盛られている。
葛以外はおいしく食べたが、葛は食べづらかった。
どうしても葛を使いたいなら、巾着にでもすれば良いのに。


部屋の風呂は色気がないので、大浴場へ。
事前に場所の説明を受けたが、館内で迷ってしまった。案内板が欲しい。
お湯は普通。露天の眺めは最高=ひびき渓谷が美しい。
うめひびきの名前の由来。紅葉の季節は、今の百倍の美しさを見せるだろう。
外の景色を見ながらうたた寝してしまった。

(画像はうめひびきHPより)


この旅館、とにかくデザインにこだわっているのが見て取れる。
通路や客室内に使われている畳は、普通の畳と琉球畳の二種類。
壁には日田や大山・ひびき渓谷の名物の紹介。屋内に太鼓橋まである。
客室内には間接照明のために枠や、本革製のソファー。
いたるところに梅のモチーフ。食材も飲み物も梅、梅、梅のオンパレード。
何から何までこだわりぬいた趣向。
だがこれだけくどいと、ハッキリ言って疲れる。
美術館でいっぺんにたくさんの作品を見た時の印象に近い=消化不良。
気にしなければ良いのだろうが、見えてくるから仕方ない。
従業員の制服や、客用の室内着はデザイン的に好みではない。
上質であれば、そんなにデザインにこだわる必要はないと思う。
従業員の制服は作務衣に近い。
フロントにはかっちりした服装が似合うと、個人的には思う。


既に営業を始めて時間が経っているので、接客にほぼ問題はない。
洗練されているとはいいがたいが、丁寧である。
フロントスタッフは若い男性であったが、穏やかに落ち着いていて好感が持てる。
食事処のスタッフはやや緊張が見えた。
朝食は一の膳、二の膳、三の膳と続き、ワクワク感が素晴らしい。
希望すれば、網焼きが準備され、餅やシイタケなどがいただける。
最後の飲み物は、八女茶・紅茶・ハーブティからの選択。
連れはバラのハーブティを選んだが、今までのハーブティの常識を超えていた。
味も見た目も。しかし、八女茶のおいしさにはかなわない。


デザートの後、「ラウンジに無料のコーヒーがございます。」との案内。
場所をかえて飲むコーヒーはおいしかった。


https://www.umehibiki.jp/